自堕落日記

気ままに思ったことをつらつらと書く備忘録的なアレ

殺戮にいたる病

 年末に読む本じゃなかったなとか思いながらも無事読了。あ、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。今年はもう少し日記つけようと思ってますが何分飽き性なので実際のところどうなのかはわかりません。

 

 さて、読了しました「殺戮にいたる病」ですがミステリー界隈では名作だそうで。私はそういうあれそれじゃなくて普通にKindleのランキングで見つけて読んでみたんですがばちくそに面白くて凄いなと。どういう感じのお話かはレビューとかで結構出回ってるし、私はそういうの書くのがあまり得意じゃないので割愛。使ってるトリックとか手法もそれ自体がネタバレになる可能性あるミステリーだと触れるの躊躇するよね。いうて普通にばしばし書かれてるんだけど。個人的にはあまり好きじゃなかったり。

 だもんでそういうのには触れない縛りで感想文書いてみようと思う。というかそもそもの話、文章が好きすぎてミステリー云々じゃなく良いお話じゃんかと。エロとグロですよ、ぶっちきりのアングラですよ。

 まずエロの描写がもう凄い。下手な官能小説より色気が凄い。文学作品に年齢指定がされないの不思議になるくらいだった。直接的な描写も当然のように頻出するし、そこに至る内面も描かれてるからドキドキしちゃった。小説の登場人物って多かれ少なかれ変態性を持ってるけど、この小説に出てくるメインの登場人物みんな方向性は違えど変態だと思ってる。

 それでグロも凄い。読んでて気持ち悪くなる感覚久しぶりに味わった。細かいからっていうのも勿論あるけどそれ以上に生々しくて想像しちゃう。私は文字は文字として読むからそういう描写に強い方なのに、それでも想像しちゃった。がっつり書かれてるのは一部分だけで全体から見れば少ないどころの話じゃないのに強烈な印象残してくの。途中で話を聞いてる登場人物が吐いちゃうシーンあって、そこで「わかる」ってなった。

 

 彼が殺戮に至った経緯は作中で明らかになっているし、その精神性も度々言及されているから多分こうなんだろうなっていう予測は立てられる。けど実際のところは誰にもわからないよなって。冒頭に書かれてる通り、自分でさえも分からないうちに侵されてるものだと思うから。男性としては思い当たるところあるんかね。他の小説とか読んでいても、立場というか性別が逆転している状況でこういうお話っていうのはあまり見かけないのはどうしてなのかなーとか。私が読了している本が偏っているっていうのは大いにあるからあくまで一個人の感想から生じた疑問でしかないんだが。

 全体的に病んでて結末まで辿り着かなくてもわかるバッドエンド臭がたまらなかったなぁ。何がいけなかったのか、どうすればよかったのか、そんなものは一切ありませんみたいな。なるべくしてなった状況で、何をどうしてもどうにもならなかった感が良い。いや、勝ち逃げしてる人がいるような気がしなくもないけど。

 

 全体の感想としてはこんな感じ。諸々わかってから読み返すとまた新しい発見があるってのがミステリーの面白いところだし、再読してみようと思う。時間空けてから読むのもいいよね。そんなこんなな読書感想文でした。